山下さん星さんの出版記念会

以前お知らせした「北の農民 南の農民〜ムラの現場から2011」のブックレット出版記念会が2月11日、新潟市の東映ホテルで行われました。新潟市内は前日までの大雪で交通が乱れていましたが、会場は椅子を追加する盛況ぶりでした。

山下惣一、星寛治鼎談

登壇は左から山下惣一さん、星寛治さん、ジャーナリストの大江正章さん

今回出版されたブックレットは、1981年に出版された星さん、山下さんの往復書簡をおさめた「北の農民 南の農民」の30周年を記念して、昨年新潟県の笹神で開かれた鼎談をまとめたもの。その鼎談直後に東日本大震災が起き、その後の原発災害や、それどころでなかったはずのTPP交渉が始まってしまったことなど、この一年の変化と思い、そして発刊からの31年を振り返る鼎談となりました。

地震と津波について、星さん(山形県高畑町)は「極限にあって被災地の人が求めたものが何だったか、人にとって何がかけがえのないものなのか知ったはず。人の力は本当に小さいが、東北にはまた日は昇ると信じている」と語り、山下さん(佐賀県唐津市)は「津波でできた大量の瓦礫。あれのためにみんな働いてきたのかと思ったら、何もする気がなくなった」と言います。山下さんの自宅は玄界原発から10キロ圏内。「原発事故で東京から避難した娘の実家が、別の原発からわずか10キロのところというのは笑えない」とし、会場は苦笑。原発事故と福島県産などの野菜について、星さんは「福島の農家と長年信頼を培ってきた消費者が、福島の有機栽培より他県の普通栽培でいい、輸入野菜でもいいと、他に食品を求めたのはショックだった」と語りました。福島県産野菜の放射能汚染については、福島県が独自に調査し情報発信をしていますので、こちらでご確認下さい。

山下さんは地元の有志と避難した農家が唐津で農業を営めるよう受け入れの準備を進めましたが「農業はその土地でしかできない。私だったら移らないと思ったら、それに何の意味があるのか」と、受け入れを止めたそうです。福島から多くの被災者を受け入れている山形の星さんは「福島から避難した15万人が帰る場所がない。その憤懣は言葉に表せない。奪われたふるさとをどう取り戻していくかが、わたしたちみんなの課題」と話しました。

TPPについて、山下さんはこの一年の変化として「TPPは農業だけの問題じゃなく、日本のシステムの問題なのだといことが分かってもらえた」と言います。「アメリカは国家と個人が横並びで、個人が国家から事故を守る権利が保障されている。だから国民皆保険制度は憲法違反という結論が出る。日本は国と個人が横並びだとは誰も思っていないが、10年もするとアメリカと同じ社会になっていく」と話す一方、「TPPをてこにして農業構造改革をという動き」が気に掛かると言います。震災で立ちゆかなくなった地域でも漁業権、農地法が内部から崩壊しつつあり、権利関係をまとめることで企業の参入が容易くなっていくだけ。その先には生業としての農業、“究極のセーフティーネット”としての農業や農地が成り立たなくなっていくと危惧しています。星さんは津波に襲われた仙台市の穀倉地帯がメガソーラーに手を挙げていることを「食糧基地東北の面目は潰れた」とし、TPP交渉に関しては「災害を利用した火事場泥棒。現政権の非人間性は許し難い」と話しました。

現在、山下さんはTPPに反対しているオーストラリアやニュージーランド、アメリカなどの市民団体と協働した反対運動を展開。星さんは「金融資本主義、地球を一つとするグローバリゼーションを拒否する考え方を確立しなければならない」と話します。そして山下さんは「グローバリズムに対抗できるのは、協働。協同組合が重要なんじゃないか」と話しました。

ブックレットの入手に関しては、総合生協生産者協議会にお問い合わせください。

 

 

1つのコメントがあります “山下さん星さんの出版記念会”

  1. 北蒲原郡聖籠町で農業をやっている伊藤と言います。

    昨年に続いて今回も星さん山下さんの講演(今回は石塚さんも参戦のてい談でした)
    を聴かせたいただきましたがほんとうに一言一言が自分が今農業を生業として
    集落の中でやっていて感じています。

    一番気にかかった言葉に山下さんのTPPをてこにして農業構造改革をという動き
    どさくさに紛れて大切なものをはぎ取られてしまはしないか ~~
    そしてまたこのTPPでは国会決議もありまだまだ時間がかかるとのお話ですが
    個人的でも関連する組織的でも反対行動をとって行きたいと思っています。

    尚、また山下さん星さん、石塚さんのこう言う講演会2回あったので3回目も
    期待しております。

    ありがとうございました。

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